
「オールド」と呼ばれるMarshallアンプは、憧れのアンプ。
この年代のMarshallは、同じ型式のモデルでも生産された年次によって回路や部品を更新しているため、生産された時期によって音が違います。
中でも、前面の操作パネルがプレキシアクリル板から鉄板パネルに仕様変更された、70年〜73年頃までのモデルは、よく歪んで抜けが良いサウンドとして特に高い人気を集めています。
同じ時期にハードロックが興り多くのギタリストに使用されたこともあり、今でも根強いファン/ユーザーがいることでも有名。
「BlackBerry JAM Cacao」は、このメタルパネルMarshall1987 JMP50Wを再現したペダル。
常設の、ヘタって抜けの悪いMarshallを使う相方が嫉妬してしまうほどの、エゲツナイサウンドですよ^^
実機と比べてどうか?
さて、私は1971年と同じ回路のアンプを自作して使っています。
これと、69年のレイダウントランスMarshall1959 100Wを演奏したときの感覚をもとに、オールドアンプを再現したCacaoの価値を探ってみました。
まずはサウンド評価
100WのMarshall 1959と、50Wの 1987 には音の違いがあります。
このCacaoは、ブルージーと評される特徴的な
唸るようなローミッドと荒々しくジュワ~ンと弦に絡みつく歪み
をしっかり捉えており、Marshall系としてオンリーワンな「1987」としての存在感があります。 TS系ペダルにある、低域がスコンと抜ける感じもなく、4発キャビで強く弦を弾いた時の「ドンッ」という低域が快感です。ピッキングを強く早く叩くことで、迫力のある音が出せますし、優しく弾けばフュージョンまで対応できそうです。
バンドで合わせても、全く埋もれません。この感覚はまさしくアンプですね。とてもいいです!
ボリュームを落とした際、クリーン~クランチへの変わり方。比較的自然な方だと思いますが、これはエフェクターの感覚です。ダイオードクリップして歪みを作っているエフェクターの宿命。同じ理由で、Fenderアンプのような完全なるクリーントーンは出ませんが、GAINをあげすぎずに
「歪んでるのか歪んでいないのかの境界線を行き来する」
この感じがアンプに近いです。1987実機も、ボリュームを上げれば勝手に歪んでいくアンプです笑
この年式の1987の音を出せるペダルは、おそらく世界でただ一台ではないでしょうか?私は見たことがありません。
コントロール
上段左から
「Volume」 |
「Gain」 |
「Presence」 |
「Treble」 |
「Bass」 |
実際のMarshall 1987のトーンを狙うコツとしては、GAINは12時ほどまでに抑え、TREBLEとPRESENCEをかなり上げ目にすること。アンプ/キャビによってはこれらは最大でも良いです。
こうすることで、この年代のMarshallアンプらしい「ギャリ~ン!」という暴れが出てきます。
ゲインは、オールドMarshall系ペダルにしてはかなり歪みます。
1世代後のJCM800に肉薄するディストーション程度にまで歪み、単純にペダルのゲインを落とすだけでは「クリーントーン」は出ません。それでもギターボリュームを落とせばオールドのクランチサウンド。

BlackBerry JAMという工房の理念として「アンプライク=実際のアンプと同じ操作性と弾き心地の再現」というものがあるそうです。GreenbackやBlackBackスピーカ4発のキャビで鳴らせば完全に1987実機の感覚になります。
とにかく反応速度が速く、粘っこい感じがありません。
ギターボリュームを少し絞ったクランチが……ジャズコでも死ぬほど気持ちいいのです!
JVMやJCMのCrunchチャンネルはともかく、JCM900等よりも気持ちいい。そこに良質なオーバードライブなどでゲインを突っ込むと、、、。
近年のマーシャル1960など、ハイのきついスピーカーを積んだ大型キャビで鳴らしてしまうと、このクランチが出ないんですよね。。
サウンドのバリエーション
PRESENCEコントロールは、実機のものと同様上げることで「Marshallらしいハリ感」を引き出します。ここをどう調整しても別のアンプにならず、「1987の音」を維持し続けるのが「1987としての存在感」を思わせる点です。
EQの効きも幅広く、TS系ブースター風の中域が濃厚なサウンド、Marshallのブライトなサウンドまで変化。どんなアンプのクリーンにも合いますし、ブースターとして使用しても大変伸びのあるサウンドが得られます。
Van Halenが歪まないMarshallの前段に別のMarshallを繋いで「オーバードライブ・アンプ」としていたのは有名。それと同様の事ができます。
対ジャズコーラス用メイン歪ぺダル
リハスタなどでの合わせの際にも使ってます。
JC-120の(mono)リターンにダイレクトで繋ぐ場合のセッティングは、私の場合
Volumeはかなり絞る(ボーカルやほかの楽器との兼ね合いで調節) |
Gainは11:30~12:00 |
PRESENCEは最大 |
TREBLEも最大か最大わずかに絞り |
BASSは12時 |
としています。それの前にブースターとしてYourface、空間系にTC-Electronic G-Systemを使うのがライブ用セッティングです。
本番ライブでも、アンプとキャビを持ち込まない場合はCacaoとジャズコでライブしてます。オールドLesPaulの倍音感を全くスポイルしません。メイン歪で悩んだ時期に、さっさと買っておけばよかったなと思います。
ギターのトーン/ボリュームを6付近にまで絞ることで、太さと抜けとハイの張りを維持しながら、ベースやボーカルを邪魔しないバッキングサウンドになりますし、リードの際にはボリュームでゲインを上げ、トーンを上げてエッジを加えます。