《知ってた?》CD900ST豆知識《歴史と全モデル出音解説》

左がスタジオ所有の900ST、右が私の個人所有900ST。

ソニー・ミュージックスタジオ内で開発・使用されていたものの、プロが実際に使っている場面が雑誌やメディアに露出することで民間でも人気が高まり、民生用に開放された「SONY MDR-CD900ST」。

ただし実際の使い方としては、

レコーディングの際のモニター用途

コントロールルームでのアウトテイク要素探し(ノイズや変なピークがないか等)

というものであり、これでMixすることはほぼありません。

テレビ局の音声さんなどが、現場でタレントのピンマイクを聞きながら「レベルオーバーを防ぐためにミキサーをいじる」ような使い方はMIXと言えないこともありませんが、音楽をMIXするヘッドホンではありません。

音質が素晴らしい、というのも理由の一つではありますが、それよりもプロの現場で求められる「完動性・耐久性」と「扱いの容易さ・装着時の違和感のなさ」が高い次元でまとめられているからこそのシェアだと思います。

MDR – 900ST vs 7506

900STが「赤帯」や「赤ライン」と呼ばれるのに対し、「青帯」や「青ライン」と呼ばれる「MDR-7506」というモデルもあります。

違いとして、再生可能周波数が900STが10~30,000Hzであるのに対し7506は10~20,000Hz。

また、900STがハウジング内部に音の内部反射をコントロールするためのクッションを内蔵していますが7506にはそれがありません。

出音としても900STが張り付いたように前面で鳴って聞こえるなら、7506は音が遠く、音楽を聴くと濁ったような響きがあります。

イヤーパッドの薄さも異なり、900STがぺたんとしたパッドになのに対して7506はやや深みのあるパッドを採用しており、耳とドライバーの間にできる空間の違いが音の違いを生んでいるものと思われます。

この「青帯」MDR-7506はスティーブン・スピルバーグ監督が愛用することで知られており、海外スタジオではATH-50xと並び人気を二分。

ちなみに、7506を分解してハウジング内にティッシュペーパーを突っ込むと、音の内部反射が抑えられるためか濁りがほぼ解消されます。(笑)

900STのバリエーションモデル

さて、そんな900STは1989年発売。

30年近くにわたって基本仕様を変えていない、完成されたヘッドホンと言えますが、そんな中でもいくつかのバリエーションが生まれています。

分かりやすい違いとして、ヘッドバンドの「STUDIO MONITOR」文字の有無。ちなみにこの文字、「DIGITAL MOMNITOR」だった時期もある

900STの系譜のもとになったのが「ST」のついていない「初代MDR-CD900(民生用)」であることは知られています。

初代MDR-CD900(民生用)はデフォルトで折りたたみが可能で、カールコード仕様。現在でいうMDR-V6の仕様に近いもの。

同時期に「MDR-700」も発売されていて、こちらは折り畳み機能がなく、ストレートケーブルでした。

そんな初代MDR-CD900が好評を博す中、スタジオ向けに仕様を変えてCBSソニー信濃町スタジオ(現:ソニー・ミュージックスタジオ)に提供されたのが「MDR-CD900CBS」。さらにそれを一般スタジオ向けとして発売されたのが「MDR-CD900ST」となります。

初期物の900ST。「MADE IN JAPAN」が刻印。
現行品の900ST。「MADE IN JAPAN」はシール。

 

分かりにくいのが、MDR-CD900ST(現行品)にはハウジングのモデル名表記が「MDR-CD900のまま」出回ったものがあり、紛らわしいことになっています。

この場合、折り畳み機能の有無やストレートかカールコードかによって判別することになります(改造されていなければ) 

また、同じSTのシリーズにイヤーモニター用途向けのイヤホン「MDR-EX800ST」というのも存在します。

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