
Michael Landauの使用で有名になり、プロの間で今なお使用者の多い「VEMURAM Jan Ray」でなによりも特徴的なのは、Fenderアンプをクランクさせたような芯のあるドライブサウンド。
歪ませるというよりも、歪んでしまっている、、、というニュアンスが出る稀有なエフェクターです。
Fenderやオールドマーシャルと呼ばれる初期のマーシャルアンプの、歪んでいるかいないかわからない……そんな最も美味しいサウンドを、ペダルで得られる。
ディストーション的なゲイン量を期待すると物足りないかもですが、素晴らしいオーバードライブですよ!
自作 VEMURAM Jan Ray

筐体は、回路を解析するために分解した「Blackberry JAM Cacao」から転用、ノブはMarshallのミニアンプから強奪!ありあわせで作った結果こうなった(笑)
ちなみに、本機の製作後にもう一台Cacaoを購入し、そちらは普通にMarshall 1987系サウンド用に使用している。レビュー記事はこちら。

オペアンプには「OPA2134PA」、抵抗はカマヤ、コンデンサにはファインゴールド。

回路構成はオリジナルのVEMURAM製Jan Rayに準じているが、T.C. G-SYSTEMに組み込んでいるので、入力の抵抗を100kに落としてインピーダンス整合を図った。
200kくらいまであってもいいのだが、手持ちになかったので。(笑)
また、電源ラインの電解にパラでセラミックを載せ、インピーダンスも強化してある。
コントロール

GAIN、VOLUME、TREBLE、BASS。オリジナルにあるのは以上だが、回路内に隠された高域調整トリマーを「PRESENCE」的に表に出しています。
使用するキャビネットやスピーカーの種類によってハイの出方を調整出来る、これがとても良く、しっかりとアンプらしい超高域を再現できるようになっています。
中央のトグルスイッチは、ダイオードクリップの構成をテストした際の名残。現在は対称クリップ。
サウンド
「トランスペアレント系」の言葉通り、ギターから出力される音を余計な味付け無しに増幅。
GAINを上げればナチュラルにドライブしていき、ブルースドライバーくらいの歪み量までカバーしますが、9時から12時くらいまでのクランチ領域が最も音が太く、美味しいように思います。
ただローが出るという意味での太さではなく、100Hz〜400Hzあたりにあるピッキングのアタックが大変に厚く、芯があるのが魅力的。
「ドライブさせたFender Super Reverbの音」と言われ、ブラックフェイスのFenderトーンを狙う際にはLovepedal Super 6と並んで評されるJan Ray。
Marshall系よりも超高域を丸めつつミッドに寄ったピーク分布を持ち、これが「艶」となりFenderトーンらしさを生む。
実際のFenderアンプと聞き比べても遜色ないトレブルの張りを持っているが、エッジーなのに耳に痛くないサウンドチューンは見事!

オーバードライブペダルに分類されるが、コンプ感を出すことなくギターの出力だけをアップさせる良質なブースターとしても使える。
良質なアンプが持つ「音楽表現の道具」としての無個性すら再現する領域にあり、ギタープレイに余計な味付けをしない。頭の中で鳴った音を、スケールを、コードをギターに伝える技術を持つ。
そんなプレイヤーに愛されるペダルだと思います。