
マイクといえばピンキリです。それは事実。しかし実際のところ、何十万円のプロ用マイクと数万円のなんちゃってマイクとの間には何があるのか?
U87 Ai
ボーカルやナレーション収録など、プロフェッショナルなレコーディングで業界標準。NHKの番組などでも、アナウンサーや芸能人がこれの前で喋っているのを見かけますね。
雑誌などでも新発売のマイクのレビューでは「U87Aiと比べて~」という表現がよく使われます。

通常見られる「U87 Ai」は1967年から1986年にかけて製造されたU87iというマイクの現行リイシュー品です。ビンテージものと比べやや感度が上がっており、S/N比が改善されています。
人気の代替モデルとして、PELUSO社のP-87はビンテージ物を再現した製品として人気があり、映像プロダクション等でもナレーションブースに置いてあったりします。
Avantone CV-12
AKG社が1953年から1963年までの10年間に数千本のみ製造し、Ocean Way Recordingをはじめとした数少ない超名門スタジオにのみ現存する伝説的なマイク、「C12」のいわゆるコピー品。

U47/67といったNeumann社製ビンテージマイクが持つ強いミッドの張り付きと比べると、全体域がまんべんなく伸びたフラット目のサウンド。
特に、同じ真空管を使ったマイクでありながらもU67とは比べ物にならないほど高域特性に優れ、海外では「女性ボーカルには最強」との評価も多くみられます。
日本代理店は現状なく、Amazonでのみ購入可能、9万円ほど。生音を録れと言われたら、ボーカルだろうがアコギだろうがまずはファーストチョイスするであろう一本です。
Rode NT1
現在ではNT-1A、NT-2Aという後継機も出ていますが、今回用意したのはNT1。
1997年に初代NT1がリリース、のちのNT1-Aの大ヒットを受け、黒いNT1が再発売されて今に至ります。
Rode NT1とNT1-Aとの違いとしては、NT1無印(上)が30Hz~4kHzの間の周波数を非常に忠実に捉えるフラット志向

それに対してNT1-AはNT1-Aでは12kHz付近で2.5dBのピーク、 100Hzから250Hzに1dBの変化。

……つまりは、「NT1は原音に忠実に、NT1-Aのほうがやや明るく/抜けがよく録る」という感じ。
Rodeというと、それこそNTシリーズの様に安価なマイクのメーカーというイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、プロの愛用者も多い、実力のあるマイクメーカー。
こちらの、AdeleリードボーカルはすべてRode製Classic IIにて収録されています。ちなみにマイクプリにはUniversal-Audio 610。
即戦力なNT1-Aから更に一歩レベルアップした音を求めるなら、NT1000がオススメ。音により芯があり、UBERworldのVocal収録に使われたという逸話も。
改造BM800(Shinさん’s MOD
Amazonの超激安コンデンサマイクが高級機に変身する改造に乗っかって作った改造ものです。詳細につきましては、上記Shinさんのページをご参照ください。
数千円+数十円で改造したマイクが数十万円のマイクと互角以上に勝負しています。。
MXL V67 Heritage Edition
参考までに、1万3千円ほどで売っているコンデンサマイクです。
名前からはコンデンサマイクの帝王、真空管Neumann U67を連想しますが、傾向としてはそれよりもC12の高音まですっと伸びる感じが近いです。
コンデンサに求められるダイナミックレンジ(小さい音から大きな音までをリニアに拾える性能)を備えていることは間違いありませんが、出音として10kHzあたりの超高音がかなり強く、
「コンデンサマイク≒高域」
という初心者にありがちな思い込みをまさに体現した特性をしてます。
ボーカルにオンマイクで使うにはいささか音がブライト過ぎ、声が高域に寄った結果「太さのない」サウンドになりがち。その点を見越して処理を加えるか、オフマイク気味で使うことを推奨。
