
BFD3と各種プラグインを使い、宅録でも生ドラム感のあるドラムトラックを作る方法を解説!
私の制作環境などは以下の記事をご覧ください。
目次
BFD3の設定
拡張音源「Black Album Drums」に収録の「Ludwig BlackBeauty」スネアを使用。
素晴らしい音してます。これだけでBlack Album Drumsを使う価値あり。
プラグインチェイン
以下の画像の通りです。Waves Puigtech EQP1-Aなどもインサートしてありますが、今回は使っていません。

1.UAD-2 Studer A800

BFD3のパラアウトから出力したスネアサウンドは、まずSTUDERテープマシンに通します。
ローミッドの太さと均一さを狙っています。ヒットの時に0~+1dBくらいになるようセット。
2.UAD-2 API VISION Channel Strip Legacy

API SummingやLUNA Recording Systemの登場によって、残念ながらLegacy扱いとなってしまったAPI VISIONオリジナルですが、サウンドそのものは相変わらず素晴らしいです。
アタックが前に出てくるような感じで、太いスネアサウンドにはぴったり。
新バージョンのAPI VISIONは、EQが550(パラEQ)と560(グラフィックEQ)を切り替え可能になっていたりして、帯域/ゲイン量ともにより細かな調整が可能になっています。
とはいえ、音作り的には550の方が設定方法に馴染みがあってその再現性も高い。欲しい帯域をしっかりカバーしてくれているので、LegacyバージョンのVISION Channel Stripのままでも問題ないと思っています。
……こうして、多少のバージョンアップを経てはいても、API 550は30年以上も前から使われ続けているわけで。常に最新モデルを追わなくても、最高の音が作れる。
つまり、設計する段階でしっかりと数値を練ってあると言うことが伝わってきて、素晴らしいなと思いますね!
3.IK Multimedia T-RackS 5 EQ-81

180Hzのローをブースト、820Hzと1.8kのミッドと、4.7kでハイをカット。
コンプで余韻を作ろうとすると、ハットやシンバルまで持ち上がってきてしまいます。今回のようなハーフだとか、ローテンポ気味の場合はなおさらやかましくなりがちで難しいです。
スネアはサンプルに置き換えてしまうこともありますが、今回は生音だけで対処する方法でやってみました。
どうするかというと、ロックのスネアサウンドにはアタック以外あまり必要なくて、リバーブで余韻をつける場合が多いです。
よって、スティックがヒットした瞬間のアタック部分であるローをブーストしています。
4.UAD-2 Empirical Lab Fat So Jr.

通すだけでいい感じに柔らかく太くなるので重宝な、EL7 Fat So。
力のあるスタジオには必ず置かれている本機。
洋楽邦楽を問わず、2010年代後半〜2020年にかけてのクリアで太いロックサウンドは、この機種のお陰じゃないかと勝手に想像しています。
バスコンプライクなかかり方のBussモードにて、-3~-5dBリダクション。音量の粒立ちをゆるく均しています。
5.Waves Manny Marroquin Distortion

歪みプラグイン。キック編でも使っていましたが、大抵のオーディオトラックに使っています。
一気に「バリっ」という音になったのがわかるかと思います。
私は通常96kHz環境でMixしていますが、その中でロックバンドのサウンドをMixしていると、空間の見通しが良すぎて個々の迫力がなくなりがちなんですよね。
そんな時、このプラグインを使うとサウンドにエッジが立つだけでなく、「語尾」がつくというか、アタックとリリースの感じが変わって前後がつきやすいんです。
コンプを使わずにアタックとリリースを弄れるので、自然な音のまま使えるのも魅力的!
6.Brainworx Bx_SSL4000E

最終的な音作りを行うのは、SSLのEQ。
ローと8Kを強烈にブーストするのは、LAロックシーンの重鎮Chris-Load-AlgeがよくやっているEQテクニック。
先述の通りリバーブで余韻を作るため、ゲートでサスティンを切っています。SSLのゲートは使いやすくていいですね。エキスパンダーモードではほぼ透明で、ゲートはスパッと切れる。
7.Avid Channel Strip

ビジュアルの見易さ、使いやすさ、軽さともに、どんな高価なデジタルEQにも引けを取らない、ProTools標準搭載のプラグイン。
Bx_SSL4000Eでは出来ない細いQでの補正を行なっています。
400Hzと950Hzあたりの強いピークを抑えて、「太くて派手だがうるさくない」スネアサウンドを目指しましょう。
8.Waves CLA-76

1176モデリング。
粘り感はWaves CLA-76の特徴かも。これがUAD-2バージョンのRev.Aだと「バリッ」と乾いた音になります。
アタックをほんの少しだけ削り、ドラムオーバーヘッドやモノラルで薄くのせたルームマイクとのなじみをよくします。
ここは、打ち込みドラムと生ドラムで差の出やすい部分なので、拘っていきましょう。
ここでコンプを入れることで、ここまで作ってきたスネアサウンドと他のドラムマイクサウンドがうまく混ざり合い「太くてラウドなのに不自然さがない、ライブ感のある」スネアを作ることができます。