
リボンマイク
リボンマイクは、SM58等と同じダイナミックマイクに属するマイクです。
薄いリボンの振動を電気信号に変える……という超アナログな動作方式。
音楽録音の最初期にはSHURE 565Sなどのダイナミックマイクと共に「レコーディングのメインマイク」でしたが、その後「より広い帯域幅、より大きな出力、より頑丈」なコンデンサマイクの進化と共にほとんど使われなくなりました。
しかし、ROYER社が耐久性を高めて1998年に投入した「ROYER R121」やそのステレオバージョン「SF12」で復権の兆しを見せ、近年では
クリアなデジタルレコーディング環境で、あえてローファイなサウンドのマイクを使ってバランスを取る
そんな手法が注目されてきています。
私としては、当初は安価なリボンマイクとして評価が高い、MXL R144を購入する予定だったのですが、、
楽天の買い回りが始まったので、ポイント還元でSE215イヤホンを貰うためにROYERを買ってしまいました(笑)
ROYER R101

ROYERと言えば、リボンマイク復権の立役者「R-121」。
メジャーレコードのギターレコーディングでは、このR-121の柔らかく太いサウンドと、SM57のカラッとエッジーなサウンドをミックスして音を作っています。
本機R-101は、そのR-121と同系統のサウンドを維持しつつ「耐久性」や「使いやすさ」にも配慮したマイクという印象です。
およそ500gの本体は、マットブラック塗装でとても高級感があります。
フライトケースには、本体と布ケース、ショックマウントが入っています。

マイクは、底部のネジを介してマウントに固定するタイプ。Rode NT-1Aなども同じですね。




サウンド
とても柔らかく濃密な低域~中域で、情報量がすごい。コンデンサーは良くも悪くも「マイクの音」が全てな感じがありますが、本機はEQでかなり弄れます。高域は17kHzあたりからロールオフしていますが、それが自然なサウンドに貢献しています。
名機R-121よりも近接効果が少なくなった分、低域がクリア。R-121はよりローエンドが強く、トップも多少オープン。
両者は共に同じ、2inch長で厚さ2.5ミクロンのリボンを使用していますが、、R-101は近接効果を抑える3層のフロントガラス(R-121は1層のみ)を持ち、内部ショックマウントも内蔵しました。リボン保護機構は進化していますね。
近接効果が少なくなった分中域〜高域が聞きやすくなった為、シンバルがやかましくなりがちなドラムのオーバーヘッドにも使えそうです。ただし、出力レベルが低いため高性能なヘッドアンプが必要です。
また、キック等風圧の強い太鼓に使うのは「少々危険」ですが、風を逃がすような軸上に配置すれば柔らかな低域がマッチする気も……する( ^ω^)

本領が発揮されるのは、ギターアンプやパーカッションなどの大音量楽器。高SPLの楽器にも使える信頼性はROYERならではです。
自然な高域ロールオフと滑らかなハイエンドで、トランジェントを抑えつつうまくミックスに収めてくれます。
これがコンデンサマイクだと、高域の耳障りな部分や風圧から来る不要な低域まで入ってきてしまいますが、リボンマイクであればその心配は要りません。
注意点としては、アンプの電源トランスからは強い磁場が出るためあまり近づけないほうが良いという事ですが、普通にキャビに立てる分には問題ないかと思います。
女性ボーカルにも適していて、滑らかでいやらしさの無いトップエンドが声を美しく仕上げてくれます。
その際は、ポップガードの使用を忘れずに。
双指向性
リボンマイクは構造上、前面と背面の音を拾う「双指向性」になります。
本機ももちろん双指向性。ROYERロゴのある全面をノーマルとすると、背面はとても明るいサウンド。
アコースティックギター等はこちらで録るといい結果が得られそう。
総括
同価格帯のリボンマイクには、AEAのR92マイクや、1953年にBBCが設計したColes 4038があります。
しかし、R-101はこれらよりも安価でありながら、定評あるR-121と同系統のサウンド。なおかつ高い耐久性で、"宅録ユーザーが本気で狙うリボンマイク"として最適ではないでしょうか!